断熱工事について

断熱工事とは、住まいの快適性と耐久性を支える仕事です

断熱工事は、単に断熱材を入れる作業ではありません。
住まいの中で生まれる熱の動きを理解し、
それを長期にわたって安定させるための施工です。

室内の温熱環境は、冷暖房設備だけで決まるものではなく、
外部からの熱の侵入や、内部からの熱の逃げ方によって大きく左右されます。
断熱工事は、その基盤となる性能をつくる工程です。

また、断熱は快適性だけでなく、
結露の抑制や構造体の劣化防止にも直結します。
施工精度が不足すれば、内部結露や断熱欠損を招き、
結果として住まいの寿命を縮める要因にもなり得ます。

近年は、断熱材の性能や数値が注目されがちですが、
実際の住まいの性能は、材料の性能 × 施工の精度で決まります。
どれほど高性能な断熱材を採用しても、
施工が追いついていなければ、その性能は発揮されません。

私たちは断熱工事を、
「材料を入れる工程」ではなく、
住まいの性能を成立させるための重要な施工工程として位置づけています。

このページでは、
断熱工事において何が重要なのか、
そしてなぜ施工によって差が生まれるのかを、
現場の視点から整理していきます。

断熱工事では、断熱材だけで性能は決まりません

断熱性能は、使用する断熱材の種類や数値だけで決まるものではありません。
同じ断熱材を使っていても、
施工の仕方によって住まいの性能には大きな差が生まれます。

断熱工事は、
「入っているか、入っていないか」ではなく、
どのような状態で、どこまで正確に納まっているかが重要です。

断熱材は、隙間なく、適切な厚みと状態で施工されて初めて、
設計通りの性能を発揮します。
一方で、わずかな隙間や押し込み、施工順の乱れがあるだけで、
熱はそこから逃げ、性能は想定よりも下がってしまいます。

そのため私たちは、
断熱工事を「材料の選定」よりも、
施工の再現性と精度をつくる工程として捉えています。

つまり、断熱性能は「施工」で決まる

断熱材の性能値は、
試験条件が整った環境で測定された数値です。
実際の住まいでは、その性能をどこまで再現できているかが問われます。

断熱工事では、次のような点で施工差が生まれます。

  • 下地の精度
  • 配線・配管との取り合い
  • 施工の順序
  • 納まりの考え方

といった複数の要素が重なります。

これらが整理されていない現場では、
断熱材が途中で切られたり、
隙間が生じたり、
本来想定していない納まりになってしまうことも少なくありません。

私たちは、断熱工事を単独の工程として考えるのではなく、
木工事・設備工事・気密工事と連続した施工として捉えています。
その流れを理解した上で施工することで、
初めて断熱性能は安定します。

その結果、見えなくなる部分ほど、差が出る

断熱工事の多くは、完成後には見えなくなります。
だからこそ、施工の良し悪しが外からは分かりにくい工程でもあります。

しかし、
住み始めてから感じる室温のムラや、
冷暖房の効き、
結露の有無といった違いは、
こうした見えない部分の積み重ねによって生まれます。

特に、

  • 柱・梁まわり
  • 開口部まわり
  • 配線・配管が集中する部分

といった場所は、
断熱欠損が起きやすく、施工の考え方が問われる部分です。

私たちは、
「見えなくなるからこそ、手を抜かない」
という姿勢で断熱工事に向き合っています。

断熱工事で重要になる施工ポイント

断熱工事は、
「断熱材を入れること」そのものが目的ではありません。

設計された性能を、
現場でどこまで再現できるか
その差が、住まいの快適性や耐久性として現れます。

私たちは断熱工事を、
単独の工程ではなく、
構造・気密・設備と連動した一連の施工として捉えています。

ここでは、断熱性能を左右する主な施工ポイントについてお伝えします。

断熱欠損をつくらないための考え方

断熱性能が設計通りに出ない原因の多くは、
断熱材そのものではなく、施工上の欠損にあります。

  • 入り切っていない部分
  • 押し込まれて性能が落ちている部分
  • 端部や取り合いで途切れている部分

こうした小さな欠損が積み重なることで、
体感温度や結露リスクに大きな差が生まれます。

私たちは、
「断熱材を入れる」ではなく、
断熱層を途切れさせない・連続させるという考え方を重視しています。

気流止め・取り合い部の考え方

断熱性能は、
断熱材の性能値だけで決まるものではありません。

実際の住まいでは、
空気の動き(気流)が断熱性能に大きく影響します。

特に重要になるのが、

  • 床・壁・天井の取り合い
  • 間仕切り壁の上下
  • 窓まわり・設備貫通部

といった、構造が切り替わる部分です。

これらの部分で気流止めが不十分だと、
断熱材が入っていても、
冷気や暖気が内部を通り抜けてしまいます。

断熱工事は、
こうした納まりを一つずつ確認しながら進める必要があります。

構造・設備と断熱の考え方

断熱工事は、
単独で完結する工程ではありません。

  • 構造材の組み方
  • 配線・配管の通り方
  • 換気計画

これらと断熱の納まりは、
現場で常に影響し合っています。

たとえば、
設備配管を通すために断熱層を後から切り欠けば、
その部分が性能の弱点になります。

私たちは、
構造・設備・断熱を同時に見ながら施工を進めることで、
無理のない納まりを現場で判断しています。

現場で完結できる体制だからできる断熱工事

断熱工事は、
マニュアル通りに進めれば完成する仕事ではありません。

現場ごとに条件が異なり、
その都度、判断が求められます。

自社施工であることは、
その判断をその場で完結できるという強みにつながります。

工程をまたいで断熱を考える

断熱工事は、
一工程だけを切り取って考えると、
無理が生じやすくなります。

このような体制だからこそ、

  • 木工事の進み具合
  • 設備工事のタイミング
  • 気密施工との順序

を踏まえながら、
工程全体を通して断熱を組み立てることを意識しています。

結果として、
やり直しの少ない、安定した施工につながります。

現場で判断と修正がその場でできる体制

断熱工事では、
図面通りにいかない場面が必ず出てきます。

そのときに重要なのは、

  • 誰が判断するのか
  • どこまで現場で決められるのか

という点です。

自社施工の場合、
設計意図や性能の考え方を理解した職人が、
その場で判断できます。

これが、
性能のブレを抑える最大の要因だと考えています。

断熱工事の精度が、暮らしの質を左右します

断熱工事の違いは、
完成直後よりも、
住み始めてからはっきりと表れます。

  • 冬の足元の冷え
  • 夏の室温の安定感
  • 結露の有無
  • 冷暖房の効き方

これらはすべて、
断熱工事の積み重ねの結果です。

見えなくなる部分だからこそ、
丁寧に、確実に施工する。
それが、住まいの質を長く支えます。

この断熱工事でつくりたい住まい

私たちが断熱工事で目指しているのは、
数値だけが高い住まいではありません。

  • 無理のない室温
  • 季節を通して安定した快適さ
  • 住み続けるほどに実感できる心地よさ

そうした暮らしを、
施工の積み重ねで実現することを大切にしています。

断熱工事は、
住まいの完成を支える裏方の仕事です。

だからこそ、
手を抜かず、妥協せず、
一棟一棟と向き合っています。

こうした考え方に共感していただける方と、
住まいづくりをご一緒できればと考えています。