有限会社山本建築工業が大切にしている、自社施工の体制と多能工的なチーム構成、そして施工精度を安定させるための考え方についてご紹介します。
自社施工という体制
自社施工とは、設計から施工までを自社の責任で担う体制のことです。
私たちはこの体制こそが、住まいの性能と品質を安定させるための土台だと考えています。
設計図通りにつくることは大前提ですが、
実際の現場では、図面だけでは判断できない場面が必ず生まれます。
納まりの微調整、材料の個体差、施工順序の変更など、
現場ごとの判断が求められる場面は少なくありません。
そうした判断を、設計と切り離された別の組織に任せるのではなく、
自分たちの手で引き受け、最後まで責任を持つこと。
それが自社施工という体制の本質だと考えています。
自社施工だからこそ、
設計と現場の意図がずれることなく共有され、
一つひとつの工程を積み重ねる精度を安定させることができます。
多能工的なチーム構成
私たちは、工程ごとに職人を分業するのではなく、
複数の工程を理解し、対応できる多能工的なチームで施工を行っています。
一人ひとりがすべてを行うという意味ではありません。
それぞれが専門性を持ちながら、
他工程への理解を共有していることを重視しています。
この体制によって、工程間の引き継ぎによるズレや伝達ミスを減らし、
現場全体を一つの流れとして捉える施工が可能になります。
多能工という考え方
多能工とは、単に「何でもできる職人」ということではありません。
自分の担当工程だけでなく、
その前後の工程や最終的な仕上がりを理解した上で作業を行うという考え方です。
断熱・気密・構造といった性能に関わる部分は、
一つの工程だけで完結するものではありません。
それぞれが連続し、積み重なって初めて意味を持ちます。
多能工的な考え方を共有することで、
「自分の工程だけ終わればよい」という発想をなくし、
建物全体の完成度を見据えた施工が可能になります。
職人同士の連携と現場判断
現場では、図面通りに進めるだけでは対応できない場面が必ず生まれます。
その際に重要なのが、職人同士の連携と現場判断です。
多能工的なチームでは、
互いの工程や考え方を理解しているため、
その場で相談し、方向性を共有しながら判断を進めることができます。
誰か一人の判断に依存するのではなく、
チームとして最適な答えを探す。
その積み重ねが、施工精度の安定につながっていると考えています。
施工精度を安定させるための工夫
高性能な住まいは、
一部の工程だけを丁寧に行えば実現できるものではありません。
設計通りにつくること、
そしてその精度を現場ごとにばらつかせないこと。
私たちはそこに、最も重きを置いています。
そのために、
工程の組み立て方や確認の仕組みそのものを、
自社の体制に合わせて整えてきました。
工程管理とチェック体制
施工精度は、個々の職人の技量だけで安定するものではありません。
どのタイミングで、何を確認し、次の工程へ進むのか。
その工程管理とチェック体制が、精度のばらつきを抑える鍵になります。
私たちは、工程ごとに節目を設け、
「ここまでの状態で問題がないか」を確認しながら施工を進めています。
作業を早く進めることよりも、
立ち止まって確認する時間を確保することを重視しています。
その積み重ねが、結果として安定した品質につながると考えています。
性能に関わる部分の施工精度
断熱・気密・構造といった性能に関わる部分は、
完成後には見えなくなる工程がほとんどです。
だからこそ、
施工中の一つひとつの納まりや手順が重要になります。
図面や数値だけでは伝わらない部分についても、
現場で状態を確認しながら、
その建物にとって最適な施工方法を選択しています。
数値を達成すること自体が目的ではなく、
その性能が長く安定して発揮されること。
私たちは、そこまでを含めて施工精度だと考えています。
自社で行っている主な工事内容
私たちは、住まいの性能や仕上がりに大きく関わる工程を、
できる限り自社で施工しています。
工程を一貫して管理することで、
設計の意図が現場で途切れにくくなり、
施工の精度や判断のばらつきを抑えることができます。
ここでは、現在自社で行っている主な工事内容をご紹介します。
木工事(構造・造作)
構造から造作まで、住まいの骨格となる部分を担う工程です。
設計の意図や納まりを理解した上で施工することで、
後工程とのズレを防ぎ、全体の精度を整えています。
基礎工事
建物を支える土台となる重要な工程です。
構造や断熱との関係を意識しながら、
通りや高さ、精度を確認しつつ施工しています。
断熱工事
住まいの快適さに直結する工程です。
施工方法や納まりによって性能に差が出やすいため、
設計内容を把握した上で、丁寧に進めています。
気密処理
断熱性能を安定させるために欠かせない工程です。
見えなくなる部分ほど施工精度が重要になるため、
一つひとつ確認しながら作業を行っています。
電気工事
暮らしやすさに直結する配線や器具配置を担う工程です。
大工工事や設備工事と連携しながら、
無理のない納まりを意識して施工しています。
給排水設備工事
水まわりの使い勝手やメンテナンス性に関わる工程です。
将来の点検や修繕も見据えながら、
配管経路や施工方法を検討しています。
空調設備工事
住まい全体の温熱環境を整えるための工程です。
断熱や気密との関係を考慮しながら、
住まいに合った空調計画を施工に反映しています。
太陽光発電工事
住まいのエネルギー計画に関わる工程です。
屋根形状や構造との関係を踏まえ、
安全性と将来性を考慮して施工しています。
自社施工だからできること
自社施工という体制は、
単に工事を自分たちで行うという意味ではありません。
設計の意図や住まい全体の考え方を、
現場に関わる全員が共有した状態で施工を進められること。
それが、私たちにとって最も大きな意味です。
工程の途中で起こる細かな判断や調整も、
「次の工程」「完成後の暮らし」までを見据えて行うことができます。
その結果として、納まりや仕上がりに一貫性が生まれます。
また、施工中に気づいた点や改善点を、
すぐに次の工程や次の住まいづくりに反映できるのも、
自社施工ならではの強みです。
断熱や気密、設備の取り合いなど、
性能に直結する部分ほど、
現場での判断と施工精度が住まいの質を左右します。
私たちは、
「任せる」のではなく
「把握し、判断し、責任を持つ」
という姿勢を大切にしています。
それが、自社施工という体制を続けている理由であり、
この体制だからこそ実現できる住まいづくりだと考えています。
大量に建てないという選択
私たちは、年間に何十棟も同時に施工する体制を取っていません。
それは能力が足りないからでも、効率を考えていないからでもありません。
自社施工という体制では、
一つひとつの現場に向き合える時間と目の数には、どうしても限りがあります。
無理に棟数を増やせば、
判断の質や確認の密度が下がってしまうことを、私たちは現場で知っています。
いまの時代、
ただ多くの住宅を供給することが正解とは限りません。
これから先は、
その地域に合った住まいを、長く使われる形で残していくことが、
より重要になっていくと考えています。
だからこそ私たちは、
つくる数を抑え、その分、一棟ごとの施工精度と完成度を高める道を選びました。
住まいが、消費されるものではなく、
次の世代へ受け継がれる「資産」として残ること。
それが、私たちの考える家づくりです。
この体制でつくり続けたい住まい
私たちが自社施工という体制を続けているのは、
特別な家をつくりたいからではありません。
設計の意図を理解し、
現場で必要な判断を重ねながら、
一棟の住まいを丁寧に完成させていく。
その当たり前を、確実に積み重ねていきたいと考えているからです。
自社施工・多能工的な体制では、
一度に多くの棟数を手がけることはできません。
しかしその分、
一棟ごとの施工精度や完成度に向き合うことができます。
住まいは、建てた瞬間が完成ではありません。
暮らしが始まり、時間が重なり、
その価値が少しずつ確かめられていくものだと考えています。
この地域の気候や環境に合い、
長く安心して住み続けられること。
そして、住む人の暮らしに静かに寄り添い続けること。
私たちはこれからも、
無理のない体制の中で、
住まいの質を大切にしながら、
この家づくりを続けていきたいと考えています。