・木材を外部で使うための高耐候クリア塗料の考え方
・木材の劣化を抑えるために重要な下地処理・小口処理・水仕舞い
・遮水工法による水への対策
・防火塗料・難燃材料としての考え方
・大臣認定品を扱う際に注意すべき施工条件や認定仕様
木材は、住宅づくりに欠かせない素材です。
木目の美しさ、手触り、温かみ、経年変化。
木には、ほかの素材にはない魅力があります。
一方で、外部で木材を使う場合には、雨、紫外線、湿気による劣化への対策が必要です。
また、建物に使う材料として考える場合には、防火・難燃といった性能面も無視できません。
今回、山本建築工業では、モクテックカメムラさんによる液体ガラス塗料の講習会に参加してきました。

講習は2日間にわたり、
- 1日目:高耐候クリア塗料の講習と施工実習
- 2日目:防火塗料の講習と施工実習
という内容で行われました。
単に商品説明を聞くだけではなく、液体ガラス塗料の基本原理、木材への施工方法、防火材料としての考え方、実際の施工上の注意点まで学ぶ実践的な研修でした。
今回の講習プログラム
今回の講習は、1日目が高耐候クリア塗料、2日目が防火塗料という構成でした。
1日目は、木材の質感を活かしながら、外部で使うための耐候性や遮水性について学ぶ内容。
2日目は、木材に防火・難燃性能を持たせる防火塗料について、施工実習とあわせて学ぶ内容でした。
ガラス塗料の講習は今回で3回目。約10年にわたり進化を見てきました
実は、山本建築工業がガラス塗料の講習を受けるのは、今回が初めてではありません。
最初にガラス塗料の講習を受けたのは、2017年頃。
今から約10年近く前になります。
当時から、木材の表情を活かしながら、耐久性や機能性を高められる技術として関心を持っていました。
その後も材料や工法は少しずつ改良され、約2年前には、防火材料として国土交通大臣認定を取得した防火塗料についての講習にも参加しました。
そして今回は、さらに改良された新しい仕様や施工方法を学ぶため、3回目となる講習会に参加しました。
建築材料は、一度学べば終わりではありません。
性能、認定内容、施工方法、仕上がりは、年々改良されていきます。
以前に学んだことがある材料であっても、最新の仕様や施工上の注意点を確認し直すことが大切だと考えています。
液体ガラス塗料とは
今回学んだ液体ガラス塗料は、木材などの表面に塗布することで、常温でガラス質の保護層を形成する技術を利用した塗料です。
通常、ガラスというと高温で溶かして作るイメージがありますが、講習では、常温でガラス化する反応を利用した塗料技術について説明がありました。
ガラスは無機物であり、一般的な有機系塗料に比べて紫外線による劣化を受けにくいという特徴があります。
一般的なウレタンやアクリルなどの有機系塗料は、紫外線によって樹脂が少しずつ分解されていきます。
一方、液体ガラス塗料は、塗膜にガラス質のネットワークを形成することで、塗膜自体の劣化を抑える考え方です。
ただし、ここで大切なのは、
ガラス塗膜が劣化しにくいことと、木材そのものが動かない・汚れない・割れないことは別問題
という点です。
木材は、湿気を吸ったり吐いたりしながら伸縮します。
紫外線や雨水、温度変化の影響も受けます。
そのため、液体ガラス塗料を木材に使う場合は、塗料の性能だけでなく、
- 木材の乾燥状態
- 表面の仕上げ
- 下地処理
- 塗布量
- 小口処理
- 水仕舞い
- 乾燥・養生時間
まで含めて考える必要があります。

1日目|高耐候クリア塗料の施工実習
1日目は、主に高耐候クリア塗料についての講習と施工実習でした。
外部で木材を使う場合、木の表情を活かしながら、雨や紫外線による劣化をどう抑えるかが課題になります。
今回の実習では、実際の木材サンプルを使いながら、高耐候クリア塗料の施工方法を学びました。


受講者ごとに施工実習用の材料が用意され、実際に塗装しながら学びました。
木材劣化の大きな原因は、紫外線と水
木材は、紫外線によって表面のリグニンが劣化し、退色、白化、黒ずみ、毛羽立ちなどにつながります。
また、雨水や湿気を吸い込むことで、反り、割れ、腐朽、塗膜の剥がれなどが起こる場合があります。
そのため、外部木部を長くきれいに使うためには、単に表面を塗るだけでは不十分です。
講習では、高耐候クリア塗料について、
- 紫外線吸収
- 紫外線遮蔽
- リグニン劣化の抑制
- 木材への浸透
- 表面のガラス質保護
を組み合わせて耐候性を高めるという考え方が説明されました。
ここが重要です。
この考え方が、今回の高耐候クリア塗料の大きなポイントでした。
施工対象はヒノキ合板12mm
今回の施工実習では、ヒノキの合板12mmを使用しました。
この材料は、通常であれば屋根や床の下地合板として使われることが多い材料です。
一方で、意匠的な使い方として、外壁の仕上げ材に活用される事例もあります。
講習では、建築家の隈研吾さんの作品にも使われている材料との説明がありました。
ただし、木材をそのまま外部に使うと、雨や紫外線の影響を受けやすく、劣化が早まる可能性があります。
そこで、高耐候クリア塗料を施工することで、木材の表情を活かしながら、外部で使うための耐久性を高める考え方を学びました。


下地処理が仕上がりと耐久性を左右する
今回の講習で特に重要だと感じたのが、下地処理です。
液体ガラス塗料は高性能な材料ですが、一般的な塗料と同じ感覚で扱うと、本来の性能を発揮できない可能性があります。
特に木材では、施工前の表面状態が非常に重要です。
木材表面は、鉋仕上げでつるつるにしすぎると、塗料が入りにくくなる場合があります。
一方で、粗すぎると仕上がりが荒れてしまいます。
講習では、サンダー仕上げの重要性や、下塗り後に毛羽立ちが出た場合の軽い研磨、既存木部の場合の洗浄の重要性についても説明がありました。
外部木部の場合、表面には土埃、排気ガス、油分、樹脂分などが付着していることがあります。
こうした汚れを落とさずに塗装すると、塗料の浸透や密着を妨げる原因になります。
つまり、塗料そのものの性能だけでなく、施工前の準備がとても重要です。
工程1|FCW専用プライマーによる下塗り
最初の工程は、FCW専用プライマーによる下塗りです。
木材は、場所によって吸い込み方にばらつきが出やすい素材です。
そのため、いきなり仕上げ材を塗るのではなく、まずプライマーで下地を整えていきます。
プライマー施工後は、木材の表面が少し濡れ色になり、木目がよりはっきりと見える状態になりました。
塗料の性能を安定して発揮させるためには、このような下地処理が重要になります。

工程2|ファインクリスタルウッド クリア艶消しによる中塗り
下塗りの次に、中塗りとしてファインクリスタルウッド クリア艶消しを施工しました。
ローラーを使って、ヒノキ合板に均一に塗り広げていきます。
クリア系の塗装は、木目を隠さずに仕上げるため、塗り方の差が表面に出やすいと感じました。
塗布量、ローラーの動かし方、塗り継ぎ部分、ムラの出方など、実際に手を動かさないと分からない部分があります。
今回の実習では、木材の表情を活かしながら、次の仕上げ工程につなげるための中塗り工程を確認しました。


工程3|ファインクリスタルコート forWOOD 艶消しによる上塗り
中塗りの次は、上塗り材としてファインクリスタルコート forWOOD 艶消しを施工します。
この材料は、施工前の状態では白濁した液体に見えます。


講習では、この白濁した成分が耐候性を高めるための成分であり、施工前にしっかり撹拌することが重要だと説明がありました。
ただ容器から出して塗ればよいのではなく、成分が偏らないようによく混ぜ、材料の性能を安定して発揮できる状態で施工する必要があります。
こうした点は、実際に講習を受けてみないと見落としやすい部分です。


厚く塗ればよい、というものではない
液体ガラス塗料というと、ガラスの層を厚くすれば強くなるように感じるかもしれません。
しかし、講習では、厚くガラス膜を作りすぎればよいわけではないという説明がありました。
木材は湿度や温度によって動きます。
その上に硬いガラス質の膜を厚く作りすぎると、木材の動きに追従できず、微細な割れや汚れの入り込みにつながる場合があります。
現在は、木材の動きに配慮しながら、薄いガラス質の保護層、紫外線遮蔽、浸透処理を組み合わせて耐候性を高める方向に改良されているとのことでした。
ここは、実務者として非常に重要なポイントです。
外部木部では、ただ硬く守るのではなく、木材の動き、吸水、乾燥、メンテナンスまで含めて考える必要があります。
上塗り材を施工し、24時間養生して完成
上塗り材をローラーで均一に塗り広げた後、表面には濡れ感が出ます。
施工直後は、まだ乾燥・養生の途中段階です。
この後、24時間ほど置いて完成となります。
塗装工事では、塗る作業だけに目が行きがちですが、乾燥や養生の時間も施工品質の一部です。
今回の講習でも、材料の性能を発揮させるためには、工程ごとの施工だけでなく、乾燥時間を適切に確保することが重要だと感じました。

ファインクリスタルコート forWOOD 遮水工法の施工実習
1日目の後半では、ファインクリスタルコート forWOOD 遮水工法についても施工実習を行いました。
外部で木材を使う場合、紫外線や雨による表面劣化だけでなく、木材が水を吸い込むことによる劣化にも注意が必要です。
特に重要なのが、小口処理です。
木材の小口は、平面部に比べて水を吸いやすい部分です。
小口から水が入ると、内部から水が回り、黒ずみ、割れ、腐朽、塗膜の剥がれなどにつながる可能性があります。
外部木部では、表面だけをきれいに塗っても、小口や裏側、継ぎ目から水が入り続ける納まりでは、不具合につながります。
つまり、塗料の性能だけでなく、納まりと水仕舞いが非常に重要です。


木材の表情を活かしたまま水への対策を行う
遮水工法では、木材サンプルにファインクリスタルコート forWOODを施工しました。
刷毛を使い、木材の表面や水が入りやすい部分を意識しながら塗っていきます。
施工後の木材は、木目を活かした自然な見た目のままでした。
木材の意匠性を大きく損なわずに、水への対策を行うという考え方は、外部木部を使ううえで非常に参考になる内容でした。


施工後に水を垂らして耐水性を確認
施工実習後、講習会場に戻り、実際に塗装した木材に水を垂らして状態を確認しました。

左側は、艶消しタイプのファインクリスタルコートとファインクリスタルコート forWOODを施工したサンプル。
右側は、遮水工法で耐水性を高めたファインクリスタルコート forWOODのサンプルです。
水滴の残り方を見ることで、木材表面への水の入り方や、塗装による保護の考え方を視覚的に確認することができました。
ここは写真だけでも分かりやすいですが、動画で見るとさらに伝わりやすい部分です。
水を垂らして遮水性を確認
写真だけでは分かりにくい部分もあるため、実際に水を垂らした様子を動画でも確認しました。
木材表面で水がどのように残るのか、吸い込み方に違いが出るのかを、施工後のサンプルで比較しています。
※この動画は講習会でのサンプル確認の様子です。実際の性能は、使用材料・施工条件・下地・塗布量・乾燥時間などにより異なる可能性があります。
「汚れない」ではなく「劣化を抑え、メンテナンスしやすくする」
外部木部に使う塗料について、お客様に説明する際に注意すべき点もあります。
液体ガラス塗料を塗ったからといって、外部でまったく汚れないわけではありません。
土埃、雨だれ、排気ガス、カビ、藻など、外部環境による汚れは当然付着します。
ただし、汚れと劣化は分けて考える必要があります。
大切なのは、
汚れを完全に防ぐ材料としてではなく、木材の劣化を抑え、メンテナンスしやすくする材料として考えること
です。
そのため、お客様に説明する際も、
という表現ではなく、
という説明が誠実だと感じました。
木材サンプルで仕上がりの違いを確認
講習会場には、ガラス塗料を施工したさまざまな木材サンプルも展示されていました。
クリア仕上げ、着色仕上げ、濃色系の仕上げなど、木材の見え方は塗料や仕様によって大きく変わります。
外部で木材を使う場合には、
- 木目をどこまで見せるか
- 色味をどう整えるか
- 艶を抑えるか、出すか
- 耐候性をどう確保するか
- 水への対策をどう考えるか
といった複数の視点が必要です。
今回の1日目の講習では、木材を外部で使うために、見た目だけでなく、耐候性・遮水性・施工手順まで含めて考える重要性を学びました。

2日目|防火塗料施工実習
2日目は、防火塗料の施工実習です。
初日の高耐候クリア塗料に続き、木材に防火性能・難燃性能を持たせるための塗料や施工方法について学びました。
住宅の新築工事において、防火塗料による難燃材料が必要になる場面は、現時点ではそれほど多くないかもしれません。
しかし、これからの建築を考えるうえで、木材利用の可能性はますます広がっていくと感じています。
特に、国産材の利用促進や、住宅以外の建築物における木質化の流れを考えると、木材の質感を活かしながら、防火性能を確保できる技術には大きな意味があります。
これまで、木を使いたくても、防火上の制約によって使用できる場所や仕上げが限られる場面がありました。
その中で、木目や素材感を残したまま、所定の仕様において、国土交通大臣認定を取得している材料があるという点は、非常に画期的だと感じました。
山本建築工業の仕事は住宅が中心ですが、住宅だけを見ていては、これからの木材利用の広がりを正しく捉えることはできないと思っています。
今後、店舗、事務所、公共施設、福祉施設、教育施設、宿泊施設、サウナ施設など、非住宅建築において木材を活かす場面は増えていく可能性があります。
そうした流れの中で、どのような材料があり、どのような条件で使えるのかを施工者として理解しておくことは、とても重要だと考えています。

防火・難燃は言葉の整理が重要
防火塗料について考えるうえでは、言葉の整理も重要です。
講習では、
- 不燃材料
- 準不燃材料
- 難燃材料
- 防炎
- 耐火構造
といった言葉の違いについて説明がありました。
これらは似た言葉に見えますが、建築基準法や消防法、火災予防条例など、関係する法律や評価の考え方が異なります。
たとえば、難燃材料は建築基準法上の材料区分の一つですが、防炎は主にカーテンやじゅうたんなど、消防法側で使われることが多い用語です。
また、耐火構造は、材料そのものが燃えるか燃えないかだけでなく、火災時に建物が一定時間倒壊しないことを評価する考え方です。
つまり、防火塗料を塗ったからといって、すべての法規制を満たすわけではありません。
使う場所、用途、部位、認定条件、確認検査機関や消防との協議内容によって、使えるかどうかが変わります。
防火塗料の効果を実演で確認
2日目の講習では、まず防火塗料を施工した木材が、火に対してどのような反応を示すのかを実演で確認しました。
使用したのは、ファインクリスタルブルーを塗布した木材サンプルです。
講習では、その木材サンプルを実際にガスバーナーで加熱し、表面の変化や燃え広がり方を確認しました。
座学だけでは分かりにくい防火塗料の考え方を、実際の火を使った実演で学ぶことができました。
ガスバーナーで加熱する防火塗料の実演
防火塗料を施工した木材が、火に対してどのような反応を示すのかを、ガスバーナーで加熱する実演で確認しました。動画では、防火塗料を施工した木材サンプルをガスバーナーで加熱し、その反応を確認しています。
※本動画は講習会での実演の様子です。実際の防火・難燃性能は、認定仕様、対象下地、塗布量、施工条件、乾燥時間などにより異なります。
ガスバーナーで炙った後の木材サンプル
こちらは、ファインクリスタルブルーを塗布した木材を、ガスバーナーで炙った後の写真です。

表面には、加熱による白っぽい変化が見られます。
防火塗料の考え方を座学で学ぶだけでなく、実際に火を当てた後の状態を見ることで、木材に防火性能を持たせるということの意味をより具体的に理解できました。
ただし、ここで注意したいのは、
「燃えない木になる」という単純な話ではない
ということです。
防火材料として扱う場合には、所定の仕様・塗布量・下地条件・乾燥時間・認定内容を確認する必要があります。
施工者としては、インパクトのある実演だけを見るのではなく、実際に建築で使う際の条件まで確認することが重要です。
防火塗料は「厚く塗ればよい」だけではない
防火性能は、塗布量や膜厚と関係します。
しかし、厚く塗ればよいという単純な話ではありません。
厚くしすぎると、仕上がり、割れ、施工性、木材の質感に影響が出る場合があります。
今回の講習では、従来よりも薄い膜厚で性能を出しながら、木材の質感をなるべく残す方向に改良が進んでいるという説明がありました。
防火性能を確保しながら、木材の表情も残す。
この両立が、防火塗料の大きな価値だと感じました。
2日目の施工実習で使用した材料
2日目の施工実習では、ファインクリスタルブルー100μを使用しました。
これは、塗装によって木材に防火・難燃性能を持たせるための材料です。
今回の講習では、以前に防火塗料講習を受講した人は、新しいファインクリスタルブルー100μを使用して実習を行いました。
初めて受講する方は、ファインクリスタルホワイトというタイプで講習を受ける形でした。


ファインクリスタルホワイトは、仕上がりが白くなるタイプで、北欧テイストなどの明るい木部仕上げにも合わせやすい材料とのことでした。
また、防火性能についても改良されているとの説明がありました。
今回、山本建築工業では、以前に防火塗料の講習を受けていたため、新しいファインクリスタルブルー100μの施工を学びました。

防火塗料は工程管理が重要
防火塗料の施工実習では、工程ごとの違いを確認できるように、複数の木材サンプルが準備されていました。
防火塗料は、一度塗れば終わりというものではありません。
今回の実習では、
- シーラー
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
というように、複数の工程を順番に重ねていきました。
各工程で使用する材料が異なり、それぞれに役割があります。
防火塗料は、性能に関わる材料だからこそ、塗布量や乾燥時間、塗り重ねの手順を守ることが重要です。

工程1|ファインクリスタルブルーシーラー100μ

最初の工程は、脱脂をしてファインクリスタルブルーシーラー100μによるシーラー処理です。
木材に直接防火塗料を塗るのではなく、まず下地を整える工程から始まります。
シーラーを施工した後は、木材表面が濡れ色になり、木目がはっきりと見える状態になりました。
この工程は、次に塗る材料を安定して施工するための大切な下地処理です。


工程2|ファインクリスタル100μコート
シーラー施工後、次の工程としてファインクリスタル100μコートを施工しました。
塗布後は、木材表面に塗膜が形成され、濡れ色のような質感になっていました。
防火塗料の施工では、各工程ごとに材料と役割が分かれています。
その都度、表面状態を確認しながら次の工程へ進めていくことが重要です。


工程3|フロアハードA
下塗りの後、中塗りとしてフロアハードAを施工しました。
塗布後は、木材表面に濡れ感と光沢が出て、塗膜が重なっていることが分かります。
このように工程を重ねることで、表面状態が変化していきます。
防火塗料は、材料そのものの性能だけでなく、施工工程を正しく積み重ねることが求められる材料だと感じました。

工程4|100μジュニアコート
最後の仕上げとして、上塗り材100μジュニアコートを施工しました。
シーラー、下塗り、中塗りと工程を重ねたうえで、最終仕上げとして塗膜を整えていきます。
防火塗料の施工では、こうした工程を一つずつ確実に行うことが、性能と仕上がりの両面で重要になります。



大臣認定品は、認定条件まで含めて扱う必要がある
防火塗料の講習で特に重要だったのが、国土交通大臣認定に関する説明です。
大臣認定を取得している材料であっても、材料を買って自由に使えばよいというものではありません。
認定品として使う場合には、
- 認定番号
- 対象下地
- 塗布量
- 膜厚
- 施工方法
- 乾燥時間
- 施工者管理
- 出荷証明
- 認定仕様との整合
などを確認する必要があります。
実験上の性能と、建築基準法上で使える認定仕様は別です。
ここを混同すると、不適切な施工や法的なトラブルにつながる可能性があります。
そのため、山本建築工業としても、防火材料として使用を検討する場合には、メーカー資料、認定内容、確認検査機関、必要に応じて消防との協議を確認したうえで扱う必要があると感じました。
CLTに施工した防火塗料サンプルを確認
施工実習後、講習会場に戻り、防火材料の国土交通大臣認定の経緯などについて説明を受けました。
写真は、CLTに防火塗料を施工したサンプルです。

左側は、最初に開発されたファインクリスタルブルー。
右側は、改良されたファインクリスタルブルー100μです。
比較して見ると、右側のファインクリスタルブルー100μは、木材の表情がより自然に見える仕上がりになっていました。
防火性能だけでなく、木材の見え方、仕上がりの美しさ、意匠性の面でも改良が進んでいることを確認できました。
木材の質感を残しながら、防火性能を持たせる。
これは、国産材利用や非住宅建築の木質化が進む中で、今後さらに重要になっていく可能性がある技術だと感じました。
今回の講習で感じたこと
今回の2日間の講習を通して、改めて感じたのは、
木材を活かすには、見た目だけでなく性能と施工まで考える必要がある
ということです。
木は魅力的な素材です。
しかし、外部で使う場合には、
- 雨への対策
- 紫外線への対策
- 水の吸い込みへの対策
- 小口処理
- 端部処理
- 水仕舞い
- メンテナンス性
- 防火・難燃性能
- 施工条件
- 認定仕様
といった複数の視点が必要になります。
特に外部木部では、
塗料だけで木材を守るのではなく、納まりとセットで性能を出す
という考え方が重要です。
塗料性能が高くても、水が溜まる納まりや、小口から水が入り続ける納まりでは、不具合につながります。
外部木部を長く使うためには、木材選定、乾燥状態、表面処理、小口処理、取り付け方、通気、乾燥、再塗装計画まで含めて考える必要があります。
山本建築工業としての考え方
山本建築工業では、家づくりにおいて、見た目のデザインだけでなく、素材の使い方、耐久性、施工精度を大切にしています。
今回の液体ガラス塗料の講習は、木材の可能性を広げる技術を学ぶ貴重な機会となりました。
特に、外部で木材を使う場合には、
「木を貼ればかっこいい」
というだけでは不十分です。
どの木材を使うのか。
どの塗料を使うのか。
どの工程で施工するのか。
水が入りやすい部分をどう処理するのか。
防火材料として扱う場合に、認定仕様と合っているのか。
こうした部分まで確認して初めて、安心して提案できる材料になります。
また、住宅では防火塗料が必要になる場面は多くないかもしれません。
しかし、非住宅建築や公共建築、店舗、福祉施設、サウナ施設などで木材利用が広がっていく中で、木材の質感を残したまま防火性能を持たせられる技術は、今後の選択肢として非常に重要だと感じています。
今回学んだ内容を、すぐにすべての現場で使うということではありません。
しかし、外部木部の仕上げ、防火性能が求められる木材利用、木材の耐久性向上など、今後の家づくりや建築の選択肢として、しっかり検討していきたい技術だと感じました。
まとめ|木材の可能性を広げるために、施工者が学び続けること
今回の講習では、液体ガラス塗料について、2日間にわたり学びました。
1日目は、高耐候クリア塗料と遮水工法。
2日目は、防火塗料と難燃材料としての考え方。
どちらにも共通していたのは、
材料の性能を活かすには、正しい施工が必要である
ということです。
液体ガラス塗料は、適切な仕様と施工条件のもとで、木材や建材の耐候性を高めたり、防火性能の確保につなげたりできる可能性を持つ材料です。
一方で、一般的な塗料とは考え方が異なり、下地処理、塗布量、小口処理、含水率、乾燥時間、法規、認定条件を理解して使わなければ、本来の性能を発揮できません。
今回の講習で特に大切だと感じたのは、次の5点です。
- ガラスは紫外線で劣化しにくいが、木材は動く
- 外部木部では、小口処理と水仕舞いが重要
- 塗布量を守らないと性能は出ない
- 防火・難燃は、材料性能だけでなく法規と認定条件が重要
- 木の質感を残したまま耐候性・防火性を持たせる技術には、今後の木質化建築で可能性がある
山本建築工業では、これからも新しい材料や技術を学びながら、地域の気候や住まい方に合った家づくりを考えていきます。
木の良さを活かしながら、長く安心して暮らせる住まいへ。
今回の学びを、今後の設計・施工に活かしていきたいと思います。


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