木部塗装は「なんとなく」ではなく、使い方に合わせて選ぶことが大切です

山梨県木造住宅協会の木部塗装勉強会に参加し、自然塗料や塗料選びについて学んだ様子

先日、山梨県木造住宅協会の勉強会に参加し、木部塗装について改めて学んできました。

今回の勉強会は、住まラボ第1回「木部塗装を知る勉強会」として開催されたもので、講師はオスモ&エーデル株式会社さんです。

住まラボ第1回 木部塗装を知る勉強会の案内チラシ

木部塗装というと、一般的には「自然塗料が良さそう」「ウレタン塗装は強そう」「オイル仕上げは木の質感が良さそう」といったイメージで語られることが多いかもしれません。

もちろん、それぞれ間違いではありません。

ただ、実際の家づくりでは、木をどこに使うのか、どのように使われる場所なのか、どのくらいメンテナンスできるのかによって、選ぶべき塗料は変わってきます。

今回の勉強会では、塗料の種類や特徴だけでなく、木の質感を活かしながら長く使うために、どのように塗装を考えればよいのかを学ぶことができました。

目次

木部塗装の役割は「見た目」だけではありません

山梨県木造住宅協会の木部塗装勉強会で、オスモ&エーデル株式会社による自然塗料の説明を聞いている様子

木に塗装をする目的は、単に色を付けたり、きれいに見せたりすることだけではありません。

塗料には、大きく分けて次のような役割があります。

  • 木を汚れや水分から守ること
  • 木の表情や質感を美しく見せること
  • 使う場所に合わせた機能性を持たせること

たとえば、無垢の床材であれば、足触りや木の質感を大切にしたいところです。
一方で、キッチンまわりのカウンターや洗面まわりの造作材では、水や汚れへの強さも考えなければなりません。

また、ウッドデッキや外部の木部であれば、雨や紫外線への対策が重要になります。

つまり、木部塗装は「何を塗るか」だけでなく、
どこに使う木なのか、どんな暮らし方をする場所なのか
を考えながら選ぶことが大切です。

塗料には、表面に膜を作るタイプと、木に浸透するタイプがあります

今回の勉強会で、改めて整理できた大きなポイントが、塗料の仕組みの違いです。

木部塗装には、大きく分けると、表面に膜を作るタイプと、木に浸透するタイプがあります。

表面に膜を作る代表的なものとしては、ウレタン塗装などがあります。

ウレタン塗装は、木の表面に保護膜を作るため、水や汚れに強く、工業製品のフローリングや家具などにも広く使われています。
ツルッとした仕上がりになりやすく、保護性能を出しやすい反面、木そのものの手触りや質感は少し感じにくくなることがあります。

また、一度傷んだ場合には、部分的に塗り直すのが難しく、全面的に研磨して再塗装する必要が出ることもあります。

一方で、木に浸透するタイプの塗料は、木の内部に入り込み、木の質感や手触りを残しやすいのが特徴です。

いわゆる自然塗料やオイル系塗料、オスモカラーなどは、この考え方に近い塗料です。
木目を活かしたい場合や、無垢材らしい質感を大切にしたい場合には、とても相性が良い仕上げだと思います。

ただし、浸透系の塗料も万能ではありません。
表面に強い膜を作る塗料に比べると、使う場所や暮らし方によっては、定期的なお手入れが必要になります。

自然塗料も、特徴を理解して選ぶことが大切です

オスモ&エーデル株式会社の講師が木部塗装の3つの役割を説明している勉強会の様子

今回の勉強会で印象に残ったことの一つが、
自然塗料という言葉には、実は明確な定義がない
という話でした。

自然塗料と聞くと、何となく身体にやさしそう、安心できそう、というイメージがあります。

もちろん、植物油や植物ワックスなどを使い、木の質感を活かす塗料は、住まいづくりにおいて魅力的な選択肢です。

ただし、「自然塗料だからすべて安全」「自然塗料ならメンテナンス不要」というわけではありません。

塗料である以上、乾燥させるための成分や、色を付けるための顔料、施工性を良くするための成分などが含まれている場合があります。
安全性を確認したい場合には、イメージだけで判断するのではなく、メーカーの資料や証明書を確認することも大切です。

山本建築工業でも、自然塗料を使うことは多いですが、単に「自然だから良い」と説明するのではなく、使う場所やお客様の暮らし方に合っているかを考えるようにしています。

山本建築工業でよく使っている木部塗装

山本建築工業の現場で木部材に自然塗料を塗装している様子

山本建築工業では、無垢床、造作カウンター、建具、造作材などに、プラネットカラーなどの自然塗料を使うことがよくあります。

木の手触りや、無垢材らしいやわらかい表情を活かしたい場合には、自然塗料系の仕上げはとても相性が良いと感じています。

一方で、最近では試験的に、モクテックカメムラさんのガラス塗料も使用しています。

ガラス塗料は、木の質感を活かしながら、耐久性や保護性能を高める選択肢として注目している材料です。
以前、ガラス塗料の講習会に参加した際の記事もありますので、詳しくはこちらをご覧ください。

ガラス塗料は、自然塗料とはまた違った考え方の木部保護塗料です。木の質感を活かしながら耐久性も考えたい場合の選択肢として、今後も検討していきたい材料です。

外部の木部については、これまではキシラデコールを使うことも多く、最近では用途によってガラス塗料も検討しています。

ただし、外部木部については、どんな塗料を使ったとしても、
塗ればずっと大丈夫
というものではありません。

雨、紫外線、風、湿気にさらされるため、定期的な確認とメンテナンスが必要になります。

外部木部は、紫外線への対策が大切です

外部木部の板塀に木材保護塗装をして仕上げた様子
外部の木部は、雨や紫外線の影響を受けるため、定期的な確認とメンテナンスが大切です。

今回の勉強会では、外部木部の耐久性についての話もありました。

木が外部で灰色に変化していく大きな要因の一つは、紫外線です。
紫外線によって木の成分が分解され、そこにカビや汚れが付着して、いわゆるグレー色に変化していきます。

外部木部を長持ちさせるためには、紫外線をできるだけ防ぐことが大切です。

そのためには、塗料に含まれる顔料が重要になります。

一般的には、透明に近いクリア塗装よりも、色の濃い塗料の方が紫外線を遮りやすく、耐候性は高くなります。
さらに、木目を残す半透明の塗料よりも、塗りつぶしに近い塗料の方が長持ちしやすい傾向があります。

ただし、塗りつぶしにすれば木目の表情は見えにくくなります。

つまり、外部木部では、

  • 木目をどのくらい見せたいのか
  • どのくらい長持ちさせたいのか
  • メンテナンスの頻度をどう考えるのか

このバランスを考えることが大切です。

木の外壁、ウッドデッキ、軒天、外部の柱や梁などは、それぞれ雨や日射の当たり方が違います。
同じ外部木部でも、場所によって塗料の選び方は変わります。

無垢材は、メンテナンスも含めて楽しめるかが大切です

山本建築工業では、木の質感をできるだけ活かした家づくりを大切にしています。

無垢床や造作カウンターは、やはり本物の木ならではの良さがあります。
足触り、手触り、木目の表情、経年変化。
これらは、工業製品にはない魅力です。

ただし、無垢材は傷も付きますし、汚れが染み込むこともあります。
季節によって多少動くこともあります。

そのため、無垢材を使う場合には、最初に良い面だけでなく、メンテナンスや経年変化についてもお伝えするようにしています。

こまめにお手入れできる方や、多少の傷や変化も味わいとして楽しめる方には、無垢材はとても良い選択肢です。

一方で、あまり手入れに時間をかけられない方や、小さなお子さんがいて汚れや傷が気になる方には、既製品の複合フローリングなども一緒に見ていただくことがあります。

無垢材が絶対に良い、既製品が悪い、という話ではありません。

大切なのは、暮らし方に合っているかどうかです。

小さなお子さんがいる家では、安全性と手入れのしやすさも大切です

小さなお子さんがいるご家庭では、床に寝転んだり、食べ物や飲み物をこぼしたり、落書きや傷がついたりすることもあります。

そのため、塗料を選ぶときには、木の見た目だけでなく、安全性やメンテナンス性も大切になります。

自然塗料系の仕上げは、木の質感を感じやすく、素足で過ごす空間にはとても気持ちの良い仕上げです。
一方で、汚れが付いたときの対応や、定期的なお手入れについても知っておく必要があります。

ウレタン塗装や複合フローリングは、木の質感という面では無垢材に劣る場合もありますが、日常の掃除や汚れへの強さという面では扱いやすいこともあります。

お客様によって、暮らし方や大切にしたいポイントは違います。

だからこそ、山本建築工業では、素材や塗料を一つに決めつけるのではなく、それぞれの特徴を説明しながら選んでいただくことを大切にしています。

塗装サンプルで確認することも大切です

塗装前の木材の木目と質感が分かる造作材
同じ塗料でも、木の種類や木目によって仕上がりの印象は変わります。

木部塗装で注意したいのは、同じ塗料でも、塗る木によって仕上がりが変わることです。

ヒノキ、スギ、ナラ、パイン、シナ、ケヤキなど、木の種類によって、色の出方や吸い込み方は違います。

同じ「クリア」と書かれている塗料でも、木によっては濡れ色が強く出たり、思ったより黄色っぽく見えたりすることがあります。
反対に、塗ったかどうか分からないくらい自然に仕上がるものもあります。

カタログや小さな色見本だけで判断すると、実際の仕上がりと印象が違うこともあります。

そのため、造作カウンターや床材など、見た目の印象に大きく関わる部分では、できるだけ実際に使う木で塗装サンプルを確認することが大切です。

今回の学びを、これからの家づくりに活かしていきます

今回の勉強会では、木部塗装について改めて多くの学びがありました。

特に印象に残ったのは、
完璧な塗料はない
ということです。

ウレタン塗装にはウレタン塗装の良さがあります。
自然塗料には自然塗料の良さがあります。
ガラス塗料にも、また違った可能性があります。

どれか一つが正解というより、使う場所、求める性能、暮らし方、メンテナンスの考え方によって、選び方が変わります。

木を使った家づくりでは、見た目の美しさだけでなく、長く使うための手入れや、経年変化との付き合い方まで考えることが大切です。

山本建築工業では、無垢床や造作カウンター、外部木部など、木を活かした住まいづくりを行う際に、素材の特徴や暮らし方に合わせて、自然塗料、ガラス塗料、複合フローリングなども含めてご提案しています。

木の質感を大切にしたい方。
でも、お手入れや汚れも気になる方。
外部に木を使いたいけれど、メンテナンスが心配な方。

そうした不安も含めて、家づくりの中で一緒に考えていければと思います。

家づくりの参考になったら、保存・シェアしていただけると嬉しいです
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

山本 大介のアバター 山本 大介 代表取締役

有限会社山本建築工業 代表取締役。
地域に根ざした住まいづくりを大切にし、設計から施工まで一貫して取り組んでいます。

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次