家づくりでは、間取りやデザイン、断熱・耐震性能、価格など、確認したいことがたくさんあります。
その中で、あまり目立たないものの、契約前に知っておきたい仕組みの一つが「住宅完成保証」です。
山本建築工業ではこのたび、株式会社住宅あんしん保証の「住宅完成保証制度」について、あらためて事業者登録を行いました。

この記事では、住宅完成保証とはどのような制度なのか、もし新築工事の途中で施工会社が工事を続けられなくなったらどうなるのか、そして完成保証と住宅瑕疵保険は何が違うのかまで、できるだけ分かりやすく整理します。
住宅完成保証とは
住宅完成保証は、注文住宅の工事中に、請負契約を結んだ登録事業者が倒産などによって工事を続けられなくなった場合に、住宅の完成を支援するための制度です。
株式会社住宅あんしん保証の制度では、条件を満たした場合に、施主がすでに支払った前払金や、別の施工会社へ工事を引き継ぐことで生じる増嵩工事費用について、保証証書に記載された金額を限度として保証されます。
つまり、完成保証は「完成した家の不具合を保証する制度」ではありません。
家が完成する前に、施工会社が工事を継続できなくなってしまうリスクに備える仕組みです。
なぜ今、完成保証の事業者登録をし直したのか
山本建築工業では、約10年ほど前にも住宅完成保証の事業者登録をしていました。
当時、お客様から「念のため完成保証に入りたい」というご希望があり、1棟だけ物件ごとの加入申込みを行ったことがあります。施工会社の倒産などによって保証が使われたということではなく、万が一への備えとして加入したものです。
その後は完成保証を希望される方がなく、登録を維持するための更新手続きや費用もかかることから、3年ほど前にいったん事業者登録を終了しました。
しかし、ここ数年は建築資材や人件費の上昇、職人不足など、建設業を取り巻く経営環境が大きく変わっています。
帝国データバンクによると、2026年上半期の建設業の倒産は1,043件で、前年同期を5.8%上回りました。また、同じ期間の「物価高倒産」では建設業が151件、「人手不足倒産」でも建設業が65件となっています。
もちろん、こうした数字だけで個々の工務店の経営状態を判断することはできません。
ただ、お客様にとって住宅は非常に大きな買い物です。施工会社を信頼していただくことは大前提ですが、それとは別に、万が一に備える第三者の仕組みを選択できる状態を用意しておくことにも意味があると考えました。
そこで今回、住宅完成保証制度の事業者登録をあらためて行いました。
「登録事業者」なら、すべての家が自動的に保証されるわけではありません
ここは、完成保証を調べるうえで特に大切な点です。
山本建築工業が住宅完成保証制度の登録事業者になったからといって、当社が建てるすべての住宅に自動的に完成保証が付くわけではありません。
住宅あんしん保証の制度では、まず施工会社が事業者登録を行い、そのうえで完成保証を希望する住宅について、工事請負契約の締結後から着工前までに、物件ごとの申込みを行います。
その申込みが審査・承認され、「住宅完成保証証書」が発行されてお客様の手元に届いてから保証が始まります。
今回の事業者登録は、「完成保証を希望されるお客様がいた場合に、物件ごとの申込みができる状態を整えた」という位置づけです。
住宅完成保証では何が保証されるのか
住宅あんしん保証の住宅完成保証制度では、主に次の二つが対象になります。
前払金
お客様がすでに施工会社へ支払った金額のうち、その時点までに実際に施工された部分の出来高を差し引いた金額です。
保証限度額は、請負金額の30%または1,100万円のいずれか低い金額が基準になります。
増嵩(ぞうすう)工事費用
工事を別の施工会社へ引き継ぐ場合、同じ金額のまま工事を続けられるとは限りません。
現場の確認、手戻り、施工体制の変更などによって、当初より工事費が増えることがあります。こうした引継ぎによって生じた増嵩工事費用についても、制度上の範囲で保証対象となります。
増嵩工事費用は、請負金額の10%または200万円のいずれか高い金額が限度とされています。
なお、前払金と増嵩工事費用を合わせた保証には全体の上限があり、請負金額の30%または1,100万円のいずれか低い金額が限度です。
制度には対象住宅や請負金額などの条件があります。2026年9月時点では、住宅あんしん保証では原則として請負金額3,600万円までの対象住宅とされていますので、すべての住宅で利用できるとは限りません。
完成保証を利用できる工務店には事業者審査があります
完成保証は、どの建築会社でも希望すればすぐに利用できる制度ではありません。
住宅あんしん保証の事業者登録には、主に次のような要件があります。
- あんしん住宅瑕疵保険の届出事業者であること
- 建設業法に基づく建設業許可を受けていること
- 原則として3年以上、住宅に関する建設業を営んでいること
- 事業者登録申請時までに住宅の建築実績が5棟以上あること
- 住宅あんしん保証が健全な財務状態を有していると認めること
- 所定の欠格事由に該当しないこと
新規登録時には、直近3期分の決算報告書などを提出して審査を受けます。
さらに、登録したら終わりではありません。更新時にも直近の決算報告書を提出し、毎年経営状態の確認が行われます。書類を提出したとしても、審査結果によっては更新されない場合があります。
ただし、具体的な財務審査基準は公開されていません。
そのため、「登録事業者だから将来も絶対に倒産しない」「登録証があれば経営状態は完全に安全」とまで言うことはできません。
一方で、第三者機関へ決算内容を提出し、一定の審査を受けなければ利用できない制度であることは、完成保証の大きな特徴の一つです。
完成保証と住宅瑕疵保険は何が違う?

「完成保証」と「あんしん住宅瑕疵保険」は、名前だけを見ると似ているように感じますが、備えているリスクが違います。
住宅完成保証
住宅が完成する前のリスクに備える制度です。
工事中に登録事業者が倒産などによって工事を継続できなくなった場合に、前払金や工事引継ぎに伴う増嵩工事費用を保証することで、住宅の完成を支援します。
あんしん住宅瑕疵保険
住宅が完成して引き渡された後に発見された、対象となる瑕疵に備える保険です。
新築住宅では法律に基づき、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任があり、住宅事業者にはその責任を履行するための資力確保措置が求められています。
山本建築工業では、その資力確保措置として「あんしん住宅瑕疵保険」を利用しています。
住宅あんしん保証の完成保証を利用する住宅についても、別途「あんしん住宅瑕疵保険」の付保が必要です。
つまり、二つの制度はどちらか一方を選ぶものではなく、
- 完成保証は「完成するまで」に備える
- 瑕疵保険は「完成してから」の対象となる瑕疵に備える
というように、役割の違う仕組みです。
希望される方は、1棟ごとに完成保証へ申し込めます
山本建築工業では、完成保証を新築住宅の全棟へ一律に付ける形にはしていません。
「万が一まで考えて、完成保証にも入っておきたい」という方には、制度の内容や条件をご説明したうえで、対象となる住宅について個別に申込みを行えるよう、会社として事業者登録をしています。
2026年9月時点で、住宅あんしん保証の公式サイトでは1棟当たりの保証料は100,000円、消費税非課税と案内されています。
制度内容や料金は変更される可能性がありますので、実際に利用を検討される際には、その時点の公式情報を確認しながらご説明します。
今回の登録証の有効期限が短い理由
今回発行された登録証は、2026年9月8日発行、有効期限が2026年11月30日となっています。
一見すると有効期間が短く見えますが、住宅あんしん保証では、新規事業者登録の最初の有効期限を事業者の決算月によって定めています。
山本建築工業は7月決算のため、初回の有効期限が11月30日となっています。初回有効期限以降は、有効期間が1年間となる仕組みです。
工務店を選ぶとき、性能や価格だけでなく「会社としての備え」も確認する
住宅会社を選ぶときは、断熱性能、耐震性能、デザイン、施工方法、価格など、多くの比較項目があります。
ただ、住宅は契約してすぐに完成する商品ではありません。契約から着工、工事、完成、引渡しまで、長い時間をかけてつくられていきます。
だからこそ、建物そのものの性能だけでなく、
- 工事中の万が一にどう備えているか
- 完成後の瑕疵にどう備えているか
- 第三者の検査や保証制度をどのように利用しているか
- 長く付き合える施工体制になっているか
といった「会社としての備え」も、家づくりの安心につながると考えています。
完成保証を実際に利用するかどうかは、お客様それぞれの考え方によります。
私たち自身が「絶対に大丈夫だから必要ありません」と決めるのではなく、希望される方には第三者の完成保証という選択肢も用意しておく。そのために、今回あらためて事業者登録を行いました。
家づくりの契約や保証について分からないことがあれば、計画の段階で一つずつ確認していただければと思います。
※この記事の制度内容・料金は2026年9月時点の株式会社住宅あんしん保証および国土交通省の公開情報をもとにしています。制度の利用条件や料金は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトをご確認ください。

