雨水配管は雨どいだけではない|設備のドレン水と地中の水まで考える排水計画

雨水配管の考え方として、設備排水や地中の水への対応、有孔管と透水シートの役割を示したアイキャッチ画像

家づくりの現場で「雨水配管」というと、屋根に降った雨を雨どいから流すための配管を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際には、建物のまわりで発生する水は屋根の雨水だけではありません。エアコンの冷房運転で出るドレン水や、エコキュートなどの設備から出る排水、そして敷地条件によっては地中から出てくる水まであります。

今回の現場では、そうした水を地面や土間の上へそのまま流すのではなく、水の行き先をあらかじめ考えて雨水配管を計画することを大切にしました。

建物まわりを掘削し、雨どいや住宅設備の排水を受ける雨水配管を施工している様子
屋根の雨水だけでなく、住宅設備から出る水の行き先も考えながら配管しています。
目次

雨水配管は「屋根の雨を流す管」だけではありません

雨水配管の基本的な役割は、建物や敷地まわりに集まる水を、計画した排水先へ導くことです。

今回の現場では雨どいからの雨水だけでなく、エアコンやエコキュートなどから発生する排水についても、地表へ流しっぱなしにしないよう受け先を考えています。

そのため、写真を見ると建物のまわりに立ち上がっている配管が多く見えます。

雨どいや住宅設備からの排水を接続するため、建物まわりに複数の立ち管を設けた状態
雨どいだけでなく、エアコンやエコキュートなどの排水位置も考えて立ち上がりを設けています。

これらは単に配管が多いのではなく、完成後に設置される雨どいや住宅設備の位置を考えながら、必要な場所へあらかじめ排水経路を用意している状態です。

建物が完成して外構まで仕上がってから排水先を考えると、せっかく仕上げた土間を再び施工したり、地表を長いドレンホースが這ったりすることがあります。

だからこそ、まだ地面を掘ることができる段階で、建物と設備の両方を見ながら配管を考えておくことが大切だと考えています。

なお、エコキュートなどの排水方法は機種や設置条件によって施工方法が異なります。実際の施工では、各設備の施工要領や凍結条件などを確認したうえで排水方法を決めます。

この土地では、地表の雨水だけでなく「地中の水」も考える必要がありました

今回の現場でもう一つ考えたのが、地中にある水への対応です。

掘削していると水がたまりやすく、場所によっては地中から水が出てくる状態が確認できました。地盤そのものが水を多く含みやすいのか、地下に水の通り道があるのか、その原因まではこの状況だけでは断定できません。

ただ、実際に水が集まりやすい場所がある以上、そのまま埋め戻して終わりにするのではなく、地中の水をどこへ逃がすかまで考える必要があります。

そこで数か所に有孔管を使用しました。

有孔管は、管の側面に複数の孔があいた配管です。

今回の使い方は、地中の水をただその場へ浸透させるというより、周囲から管内へ水を取り込み、雨水系統へ集めて流すための地中排水と考える方が実際の施工に近いものです。

水が地表近くまで上がって水たまりになってから処理するのではなく、できるだけ地中にある段階で拾って排水経路へ導きます。

有孔管に土や砂を入れないための透水シート

有孔管には水を取り込むための孔があります。

一方で、そのまま地中へ埋設すれば、水だけでなく周囲の細かな土や砂も孔から入り込む可能性があります。土砂が管内へ入り続ければ、せっかく設けた排水経路の流れを妨げる原因になります。

そこで今回は、有孔管のまわりに透水性のあるシートを巻いて施工しています。

有孔管への土や砂の流入を抑えるために使用する透水シート
有孔管への土や砂の流入を抑えるために使用する透水シート

水は通しながら、周囲の土や砂が有孔管へ直接入り込みにくくするための施工です。

ただし、透水シートを巻けばどのような地盤でも問題がなくなるわけではありません。地盤の土質、水の量、周囲に使用する砕石、排水先などを含めて考える必要があります。

こうした地中排水は、一つの材料だけで性能が決まるのではなく、その土地で水がどこから来て、どこへ流れていくのかを見ることが重要です。

水が多く出る場所には、その場所に合わせて有孔管を施工

敷地全体で水の状態が同じとは限りません。

今回も、特に水が多く出る場所を確認しながら、その部分へ有孔管を施工しました。

地中から水が多く出る場所に有孔管を設け、雨水配管へ接続している施工状況
実際に掘削して確認した水の出方に合わせ、必要な場所へ有孔管を追加しています。

図面上で均等に配管を配置すればよいということではなく、実際に掘削したときの地盤や水の状態も見ながら施工を調整しています。

現場でしか分からないことは少なくありません。

水の出方もその一つです。地面を掘ったからこそ分かる状況を、その後の施工へ反映させることが大切です。

水の処理は、建物だけではなく敷地全体で考える

住宅の水対策というと、屋根や外壁の防水に目が向きやすいですが、建物から離れたあとの水をどう処理するかも重要です。

今回のように考える水には、

  • 屋根から流れてくる雨水
  • エアコンなどから出るドレン水
  • エコキュートなど住宅設備から出る排水
  • 地中から集まってくる水

があります。

それぞれを別々のものとして考えるのではなく、敷地の中で「この水は最終的にどこへ行くのか」を整理しておくことが排水計画の基本です。

雨が降っていないときには見えにくい部分ですが、長く住み続ける住宅だからこそ、水が集まる場所や流れる経路まで考えておきたいところです。

完成すると見えなくなるからこそ、埋める前に考える

今回ご紹介した雨水配管や有孔管の多くは、このあと埋め戻してしまえば見えなくなります。

完成した住宅を見ても、地中でどのように配管されているかはほとんど分かりません。

しかし、見えなくなるから重要でないわけではありません。

むしろ地中へ埋まる配管は、あとから簡単に直せない部分です。

設備の位置を先に考えること。 水の出方を現場で確認すること。 必要な場所に排水経路をつくること。 そして、土砂が入りにくいよう施工すること。

一つひとつは完成後には見えませんが、こうした積み重ねが住まいの使いやすさや維持管理につながっていきます。

山本建築工業では、建物だけをつくるのではなく、給排水や設備、そのまわりの敷地まで含めて一つの住まいとして考えながら施工しています。

雨水配管も、そのための大切な仕事の一つです。

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この記事を書いた人

小野 希のアバター 小野 希 大工・情報発信担当

山本建築工業で大工・広報・情報発信を担当しています。
現場の様子や住まいづくりの考え方を、分かりやすくお伝えします。

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